令和3年度 秋期 システム監査技術者試験 午前Ⅱ 問15
ストラテジ法務・標準調達・契約取引関連法規(契約・消費者・決済)
A社は,B社に発注したソフトウェア開発と,それを稼働させるサーバとクライアントPCの売買が,契約内容に適合しない事実を知った。民法の契約不適合責任に関する記述として,適切なものはどれか。ただし,A社とB社の間で契約不適合責任に関する特約は合意されていないものとする。
解答・解説
正解: イ. A社には,契約不適合の程度に応じた目的物の修補,代替物又は不足分の引渡し,損害賠償,契約の解除,履行の追完請求後の報酬減額を求める権利がある。
民法の契約不適合責任に関する問題です。契約内容に適合しない目的物が引き渡された場合、買主(発注者であるA社)が売主(受注者であるB社)に対してどのような権利を行使できるかが問われています。
民法上、引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない場合、買主には以下の権利が認められています。
- 履行の追完請求権(目的物の修補、代替物の引渡し、不足分の引渡し)
- 代金減額(報酬減額)請求権(履行の追完がない場合など)
- 契約の解除権
- 損害賠償請求権
したがって、これらの権利を正しく列挙しているイが適切な記述となります。
各選択肢の解説
- ア:誤り
売主(B社)は、買主(A社)に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができます(民法第562条第1項ただし書)。したがって、必ずしもA社が指定した方法に従う必要はありません。 - イ:正解
記述の通り、買主であるA社には、契約不適合の程度に応じた目的物の修補、代替物又は不足分の引渡し(履行の追完請求)、損害賠償、契約の解除、代金減額(報酬減額)を求める権利があります。 - ウ:誤り
買主が売主の契約不適合責任を追及するためには、原則として、不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければなりません(民法第566条)。「引渡しから1年以内」に「請求」をしなければならないとする点が誤りです。 - エ:誤り
契約不適合を理由とする損害賠償請求は、債務不履行の一般原則に従います。したがって、売主(B社)に帰責事由(故意や過失など)がない場合は、損害賠償を請求することはできません(民法第415条第1項ただし書)。無過失責任とする点が誤りです。