得点につながる記述答案の書き方:良い例・悪い例

記述式試験では、同じ理解度でも書き方で得点が変わります。採点者(人間でも AI でも)は答案に書かれた文字だけを根拠に採点するため、頭の中にある理解を採点基準に載る形で文字にできるかどうかが勝負です。

この記事では、実際の採点基準に照らした良い例・悪い例の比較から、確実に部分点を積み上げる答案の型を解説します。

大原則:問われていることに正面から答える

記述式の設問は、何を答えるべきかを明確に指定しています。

  • 「〜の理由を答えよ」 → 「〜だから。」で終わる文
  • 「どのような特性があるからか」 → 特性そのものを述べる文
  • 違いに着目して答えよ」 → 両者の対比が含まれる文

当たり前に見えますが、失点答案の多くは「関連する知識は書いてあるのに、問われた形になっていない」ものです。書き終えたら、設問の要求語(理由・特性・違い)に自分の答案が対応しているかを必ず確認してください。

悪い例に共通する4つのパターン

実際の過去問(応用情報 令和6年秋 午後 問1)を例に見てみましょう。

パターン1:用語が不正確

設問:パスワードをハッシュ化して保存することは、情報漏えいの脅威に対してメリットがある。それは、ハッシュ値にどのような特性があるからか。(25字以内)

悪い例:「パスワードが暗号化されて読めなくなるから。」

「暗号化」と「ハッシュ化」は別の概念です(暗号化は鍵があれば復号できるが、ハッシュ化は一方向)。技術用語の混同は「誤った理解」と判定され、知識・理解度の観点で大きく失点します。

良い例:「ハッシュ値から元のパスワードの割出しが困難だから。」

問われている「特性」=一方向性を、正確な表現で正面から答えています。

パターン2:抽象語で止まる

悪い例の典型:「安全性が高まるから」「セキュリティが向上するから」

これらは設問の前提(メリットがある)を言い換えただけで、なぜを説明していません。採点基準は「どの概念に言及しているか」で判定されるため、抽象語だけの答案には部分点も付きにくいのです。「安全」「適切」「効率的」と書きたくなったら、その中身を具体的な仕組みや性質に置き換えられないかを考えてください。

パターン3:要求された対比を書かない

設問:ペッパーを付加してハッシュ化することでレインボーテーブル攻撃が困難になる理由を、ソルトを用いた処理との違いに着目して35字以内で答えよ。

悪い例:「ペッパーは攻撃者に知られていない秘密の値なので攻撃が難しくなるから。」

内容は間違っていませんが、設問が明示的に要求している「ソルトとの違い」(=保存場所の違い)への言及がありません。設問文中の「〜に着目して」「〜を踏まえて」は採点基準に直結する指示です。

良い例:「ペッパーは会員テーブル外で管理され、窃取したデータから得られないから。」

この2つの答案の採点結果の違いは、AI採点の結果例で観点別に確認できます。

パターン4:字数を活かさない・超過する

制限字数は「これだけの分量で書くべき要素がある」というメッセージです。

  • 35字制限に対して15字の答案は、たいてい要素が足りていません。制限の8〜9割を目安に使い切りましょう
  • 逆に超過は内容にかかわらず0点です(本試験・Spine のルールチェックとも同じ扱い)。下書きで要素を並べ、削って整えるのが安全です

答案の「型」を持つ

要求語ごとに、書き出しと結びの型を決めておくと、時間内に安定した答案が書けます。

要求
理由 「(根拠となる仕組み・性質)だから。」
特性・性質 「(主語)は(性質)という特性。」
違い 「A は〜だが、B は〜である点。」
目的 「〜するため。」
問題点・リスク 「〜のとき、〜になるおそれがある点。」

練習の仕方

書き方の改善は、読むだけでは身につきません。学習サイクルの回し方で解説しているとおり、「書く → 採点 → 1点だけ直して書き直す」を繰り返すのが最短です。

体験デモでは、この記事で例に使った実際の過去問を登録なしで解けます。まずは自分の書き方の癖を確かめてみてください。

読んだら、書いて試す

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