IPA システム構成方式・冗長化 — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

1台の機械が止まってもサービスを続けるために、サーバやディスクを何台、どうつないで、どう役割を分けるかという、システムの組み方と冗長化を扱います。障害のときに何が引き継がれて何が失われるのか、データがどこに置かれるのかが、方式を見分ける手がかりになります。

2. 実際の出題のされ方

RAID0・RAID1・RAID5の実効データ容量の計算や、クラスタリング・グリッドコンピューティングといった基本用語の定義が、ITパスポートで問われます。特にRAIDの実効データ容量の計算は、応用情報技術者の午前とあわせて繰り返し出題されています。

応用情報技術者の午前と高度試験の午前Iでは、構成方式ごとの具体的な動作や障害時の挙動に踏み込んだ出題になります。ホットスタンバイで現用系から待機系へ切り替わる契機、コールドスタンバイやクラスタ構成における障害発生時のサービスとトランザクションの継続可否、ホットスペアディスクを含めたRAID5の実効容量計算、オブジェクトストレージの特徴、密結合マルチプロセッサで性能がプロセッサ数に比例しない要因などが問われています。

データベースやストレージ、分散処理の専門的な構成方式が、データベーススペシャリストの午前IIで出題されます。RAID6の耐障害性と排他的論理和(⊕\oplus)を用いたデータブロックの復元、複数組のRAID5をストライピングするRAID5+0の特性、シンプロビジョニング、分散処理のアクセス透過性、CAP定理が問われています。

クラスタやマルチプロセッサのアーキテクチャは、システムアーキテクトとエンベデッドシステムスペシャリストの午前IIで見られます。システムアーキテクトではデータベースサーバのシェアードエブリシング構成の特徴、エンベデッドシステムスペシャリストでは同種のプロセッサが主記憶を共有する構成の名前を選ぶ問題が出題されています。

外部記憶装置を専用のネットワークでつなぐ構成の名前や、クライアントサーバシステムの3層アーキテクチャの説明を選ぶ問題は、システム監査技術者とITサービスマネージャの午前IIで問われています。

3. 学習のポイント

サーバの冗長化と負荷分散においては、障害が起きたときにそのまま動き続ける性質(フォールトトレランス)をどの範囲まで実現し、何が引き継がれるかを整理します。

  • スタンバイ構成の切替と継続性: ホットスタンバイでは、待機系が現用系からの生存確認の信号(ハートビート)を受け続け、信号が来なくなったら現用系が止まったと判断して自動で引き継ぎます。一方、コールドスタンバイは障害発生後に待機系を起動するため、サービスは中断し、実行中のトランザクションも継続できません。
  • クラスタ構成とセッション共有: 複数台のサーバで処理を分担するクラスタ構成では、1台が故障しても残りのサーバでシステム全体のサービス自体は継続できます。ただし、故障したサーバで処理中だったトランザクションまで継続できるのは、サーバ間でセッション情報を共有している場合に限られます。
  • データベースクラスタの共有方式: どのサーバからも同じデータを読み書きできるシェアードエブリシングでは、どのサーバでも処理を受け持てるので、1台が止まっても残りが代わりに処理できます。これに対し、各サーバが受け持つデータを分けて自分専用のディスクに置き、ほかのサーバとは共有しない方式はシェアードナッシングです。

次に、複数のハードディスクを組み合わせるRAIDについて、レベルごとの仕組みと実効データ容量の求め方を押さえます。

  • 基本のRAIDレベル: RAID0(ストライピング)はデータを分散して書き込むため実効容量は全台数の合計ですが、冗長性はありません。RAID1(ミラーリング)は同じデータを書き込むため、2台構成なら実効容量は1台分(半分)になります。RAID5はデータと1種類のパリティを分散記録するため最小3台が必要で、NN台構成の実効容量はパリティ1台分を引いた N−1N - 1 台分、耐障害性は1台までです。
  • ホットスペアと応用的なRAID: 予備ディスク(ホットスペアディスク)を含む場合、予備ディスクは普段のRAID構成に参加しないため、全体の台数から予備の台数を引いた上でRAID5のパリティ1台分を差し引きます。RAID6は2種類のパリティを分散して書き込むことで2台までの故障に耐えられる方式(最小4台)で、パリティ計算式の排他的論理和から故障ディスクのデータブロックを導き出せます。RAID5+0はRAID5の組を複数作り、その組にまたがってデータを分けて書く方式で、組の数だけ同時に読み書きできるので速くなります。

さらに、ストレージ構成およびプロセッサ・分散システムの方式を対比して覚えます。

  • ストレージの共有のしかた: DASはディスクが1台のサーバに専属するので、ほかのサーバからは使えません。NASはファイルサーバとしてLAN上で複数のサーバにファイル単位で共有させ、SANはストレージ専用のネットワークを用意して、複数のサーバにディスクをブロック単位で割り当てます。また、データにIDを付けて平らな空間に置き、容量を後から広げやすいオブジェクトストレージや、見かけの容量は大きく見せておき、実際に書き込まれた分だけ物理ディスクを割り当てるシンプロビジョニングも押さえておきます。
  • プロセッサ結合と分散システム: 同種のプロセッサを複数並べて単一の主記憶を共有し、1つのOSで制御する密結合マルチプロセッサでは、主記憶へのアクセスの競合によって性能が単体性能と台数の積には達しません(独立した主記憶を持つコンピュータを通信回線で結ぶのは疎結合マルチプロセッサです)。ネットワーク上のシステム構成としては、画面の表示、業務の処理、データの管理をそれぞれ別の層に受け持たせる3層アーキテクチャ、離れた場所にある資源も手元の資源と変わらない操作方法で使える性質(アクセス透過性。資源の場所を隠す位置透過性とは区別します)、そして整合性(どのノードでも同じデータが見えること)・可用性(いつでも応答が返ること)・分断耐性(ネットワークが分断されても動き続けること)を分散システムでは同時には満たせないとするCAP定理を区別します。

4. 間違えやすいところ

  • 障害時にサービスが続くこととトランザクションが続くことの混同: この2つを入れ替えた誤答肢があります。構成の名前だけで判断せず、切替えの間にサービスが止まるかと、処理中のトランザクションを引き継ぐ仕組みがあるかを、分けて確かめます。また、1台のサーバ内でCPUやメモリなどの各装置を二重化する構成(フォールトトレラントシステム)を、セッションを共有する負荷分散方式の説明とした誤答肢もあります。
  • RAID5+0やホットスペアでの容量・復旧条件の誤認: ホットスペアを含むRAID5で、予備ディスクも容量に数えた値の選択肢があります。また、RAID5+0の実効容量を一組のRAID5と同じく全体より1台少ないとする誤答肢や、全体の半分の台数まで故障しても復旧できるとする誤答肢があります。RAID5+0ではRAID5の組数分だけパリティ容量が減り、同じRAID5グループ内で2台以上が同時に故障すると復旧できません。
  • CAP定理とACID特性・BASE特性の取り違え: CAP定理を問う問題では、最終的に整合性がとれればよいとするBASE特性の説明や、トランザクション処理のACID特性の説明が誤答肢になっています。分散システム全体のトレードオフを示すCAP定理と、トランザクションやデータ整合性のモデルを区別してください。
  • グリッドコンピューティングとマルチプロセッサの混同: グリッドコンピューティングの説明として、1台のコンピュータの中でプロセッサの役割を分ける方式や、スレッド単位の並列化を挙げた誤答肢があります。グリッドは、ネットワークでつながった別々のコンピュータの処理能力を寄せ集めて、1つの大きな計算を分担させる方式です。

システム構成方式・冗長化の理解度チェック

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