令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問3 コンテナ環境の運用管理とデプロイ改善
マネジメントサービスマネジメントクラウド・仮想化
この問題は2024(R6)春 ITサービスマネージャ 午後Iに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
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学習ガイド
ゲームアプリの基盤にコンテナ型仮想環境を導入する事例で、ITサービスマネージャに必要なコンテナ運用の理解を問う問題です。ブルーグリーンデプロイメントによる切戻し時間の短縮、コンテナが破棄されてもログを調査できる運用、CPU使用率に基づくスケーリング後のコンテナ数計算までが範囲です。この記事では「コンテナは使い捨てで即座に作り直せる」という一つの性質から各解答を演繹する形で整理します。
この記事で押さえる論点
- コンテナ型とハイパーバイザー型の違いを運用の利点として説明する
- ブルーグリーンデプロイメントの切戻し手順と時間短縮の理由を述べる
- コンテナ破棄を前提としたログ運用とオートスケーリングの計算を行う
出題情報
- 出題
- 2024(R6)春 ITサービスマネージャ 午後I 問3
- 配点
- 50点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
近年,DXを進める企業にとって,新しいITサービスを迅速に提供することが重要事項となって,コンテナ技術を導入するケースが増えている。本問では,新たにコンテナ型仮想環境を導入する事例を題材として,ITサービスマネージャとして,コンテナ型仮想環境を使うメリットやコンテナ技術の特徴を理解しているかを評価し,運用管理に必要な能力を問う。
問3では,新たにコンテナ型仮想環境を導入する事例を題材として,コンテナ型仮想環境を使うメリットやコンテナ技術の特徴について出題した。全体として正答率は平均的であった。
問題本文
問3 コンテナ型仮想環境における運用管理に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。
W社は,オンラインゲームのアプリケーションソフトウェア(以下,ゲームアプリという)を企画,開発及び運用している。W社の開発部は,開発環境と試験環境を利用して,ゲームアプリの開発と保守を行っている。W社の運用部は,開発されたゲームアプリを稼働環境で運用し,Wサービスとしてスマートデバイスからインターネットを経由してゲームを行う利用者に提供している。開発環境の管理は開発部が,試験環境及び稼働環境の管理は運用部が担当している。Wサービスの提供時間帯は,ゲームアプリ改修に必要な計画停止時間を除いた24時間365日となっている。
〔ゲームアプリの開発と運用における課題〕
ゲームアプリの競争が激しく機能追加のための改修が多いので,新たな版のゲームアプリを週1回の頻度で稼働環境にデプロイする必要がある。開発部と運用部では,開発に掛かる期間を短縮し,リリース頻度を高めているが,ゲームアプリの開発と運用には表1に示す課題がある。

図の説明テキスト
| 項番 | 課題 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 試験の中断 | 試験項目に応じて試験環境を整備する必要があるので,開発部は,具体的な整備内容を指定して運用部に試験環境の整備を依頼する。運用部は,手順書を用いて試験環境を開発部が指定する状態にする。運用部が試験環境を整備している期間,開発部の試験が中断する。 |
| 2 | 依頼漏れ・作業漏れ | 項番1の試験環境の整備において,開発部からの依頼漏れや運用部の作業漏れなどが発生すると,十分に整備された試験環境で開発部が試験を実施できずに,正しい試験結果を得られないことがある。 |
| 3 | サービス停止の発生 | 稼働環境にデプロイする作業は,Wサービスを停止する必要があることから,Wサービスの停止時間が発生し,利用者に対して不便をかけている。また,運用部の作業に負荷が掛かっている。 |
| 4 | 版の不一致 | 稼働環境に適用されているOSやミドルウェアのパッチの版が試験環境に適用されている版と異なっていたことから,試験環境で実施した試験ではゲームアプリは正常に稼働したが,稼働環境にデプロイした後,インシデントが発生することがあった。 |
| 5 | 緊急変更に伴う利用者への連絡 | デプロイ後にゲームアプリの不具合を発見した場合や項番4のようなインシデントが発生した場合,1世代前の版のゲームアプリに戻すための緊急変更が必要で,緊急変更に伴う W サービス停止の利用者への連絡が停止時間帯の直前となってしまう。 |
開発部のY氏は,アプリケーションが稼働する環境を,高速かつ簡単に生成できるコンテナ技術を導入することによって,表1の項番1や項番2の課題を解決できないかと考えた。
〔コンテナ技術〕
コンテナ技術とは,アプリケーションプログラム(以下,APという),ミドルウェア(以下,MWという)などを一つにまとめたもの(コンテナ)をホストOSのコンテナ管理ソフトウェア上で仮想環境として動作させる技術のことで,次のような特徴がある。
- 開発者が自らに必要な環境を専有して開発できる。
- サーバのリソースを有効利用でき,環境の準備,起動,廃棄などを迅速に行うことができる。
- 別の環境への移行が簡単にできる。
コンテナ型仮想環境とハイパーバイザー型仮想環境の構成例を図1に示す。

図の説明テキスト
コンテナ型仮想環境とハイパーバイザー型仮想環境の構成例を示す図。
【コンテナ型仮想環境】
ハードウェア、ホスト OS、コンテナ管理ソフトウェアの順に層が重なり、その上に4つのコンテナが並んでいる。各コンテナ内には MW と AP が配置されている。
【ハイパーバイザー型仮想環境】
ハードウェア、仮想化ソフトウェアの順に層が重なり、その上に2つの仮想サーバが並んでいる。各仮想サーバ内には ゲスト OS、MW、AP が配置されている。
〔コンテナ型仮想環境の導入検討〕
Wサービスは,運用部が運用するWシステムによって実現されている。Wシステムの稼働環境及び試験環境は,2台の物理サーバ,通信装置,外部記憶装置など,W社の設備を使って構成されている。物理サーバのうち1台では,APの不具合によってAPが停止した場合でもWサービスを継続できるようにハイパーバイザー型仮想環境で,二つのアプリケーションサーバ(以下,アプリサーバという)を稼働させている。他の物理サーバでも,同様に二つのデータベースサーバが稼働している。
Y氏は,運用部のITサービスマネージャであるZ氏にコンテナ技術の導入について意見を求めた。Z氏は,試験項目に応じたコンテナをあらかじめ用意しておくことで,現在のコンテナの廃棄と用意されたコンテナの起動を行うことができるので,試験環境の整備を迅速かつ正確に行うことができると考えた。また,APの不具合によってAPが停止するインシデントが発生した場合,現在の運用では,原因を調査後,原因となった問題を除去して再度APの起動を行っているが,その間は2台のアプリサーバのうち1台だけしか稼働していない状態となる。コンテナ技術を導入すれば,複数のコンテナを稼働させることができることに加えて,(ア)コンテナを稼働させてインシデント発生前の状態に戻すまでの時間を短縮できると考えた。
〔デプロイ方法の改善〕
Z氏は,ゲームアプリの開発と運用における課題に対して,コンテナ型仮想環境を活用したデプロイ方法を,ブルーグリーンデプロイメント方式にすることにした。この方式では,二つの稼働環境を用意して,利用者が使う稼働環境を切り替えられるようにする。具体的には,現状の稼働環境(ブルー)とは別に,新しい稼働環境(グリーン)を構築して最新版のAPを準備しておき,デプロイする日時に合わせて,利用者が使う稼働環境を切り替える運用方法のことである。
ブルーグリーンデプロイメント方式の例を図2に示す。

図の説明テキスト
システム構成図。左側に「コンテナ管理ソフトウェア」、右側に2つの環境がある。
上部の「現状の稼働環境(ブルー)」へは実線で繋がれており、中には「コンテナ (1.0版)」が2つある。
下部の「新しい稼働環境(グリーン)」へは点線で繋がれており、中には「コンテナ (2.0版)」が2つある。
図2の例では,現状の稼働環境(ブルー)で1.0版のコンテナが稼働している。新しい稼働環境(グリーン)に2.0版のコンテナを起動させておき,コンテナ管理ソフトウェアを使って,現在の稼働環境をブルーからグリーンに変更する。(イ)2.0版のコンテナの動作に問題がないことを確認できた場合,1.0版のコンテナを停止し,1.0版のコンテナを破棄する。
〔コンテナ型仮想環境の検証〕
Z氏とY氏は,コンテナ型仮想環境の検証を実施するための環境を新たに用意して,コンテナ型仮想環境の検証を開始した。
開発部では,APが出力するエラーログの情報などを,稼働環境に影響を与えないようにアプリサーバに保存する設定としていた。そこで,今回の検証におけるAPのエラーログなどの情報も,コンテナ内に出力する設定とした。検証のために,コンテナを起動したところ,しばらく稼働していたがその後APが異常終了し,コンテナが破棄される事象が発生した。運用部が原因を調査するためにエラーログ情報の内容を確認しようとしたところ,解析に必要な情報を取得できていなかったことが判明した。そこで,aする運用方法を検討することとした。
Z氏は,コンテナオーケストレーションツールを導入し,コンテナの運用管理を自動化することにした。Z氏が検討したコンテナオーケストレーションツールでは,起動されているコンテナの負荷状況によって,自動的にコンテナのスケーリングが行われる。スケーリングでは,CPU使用率が一定のしきい値を上回る又は下回る場合に,コンテナ数の増減を行う。これによってCPU能力を最適化するとともに,CPU能力不足によってシステムがダウンする事象の発生を防ぐ。必要となるコンテナ数は,次の計算式によって求めることができる。

図の説明テキスト
現在の平均CPU使用率は,コンテナオーケストレーションツールが定期的に自動的に測定を行う。Z氏は,検証で最大8個までコンテナを稼働できる環境を用意し,現在の稼働環境の稼働状況を踏まえて,期待するCPU使用率を50%とした。
設問と解答・解説
設問1
〔コンテナ型仮想環境の導入検討〕について答えよ。
(1)
表1中の項番1及び項番2の課題に対して,コンテナ技術の導入によって試験環境が正しく整備されること以外の運用部にとっての利点は何か。20字以内で答えよ。
模範解答
試験環境整備の作業時間を削減できる。
試験環境の整備を迅速に行える。
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 運用部にとっての利点である「試験環境整備の作業時間削減」や「迅速な整備」を的確に説明している。
- 3点: 作業時間の削減や迅速化について言及しているが、表現がやや抽象的である。
- 2点: コンテナの特徴(ポータビリティ等)のみを挙げており、運用部の業務上の利点と明確に結びついていない。
- 1点: 開発部など、運用部以外の利点について述べており、設問の意図から逸れている。
- 0点: 無解答、または設問と全く無関係な記述。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 20字以内で端的に要点がまとまっており、自然な日本語として成立している。
- 2点: 意味は通じるが、文の構造がやや不自然であったり、冗長な表現が含まれている。
- 1点: 文の繋がりが不明確で、主旨が読み取りづらい。
- 0点: 文として全く成立していない。
解説
本設問では、新たにコンテナ型仮想環境を導入することで、運用部が得られるメリットについて問われています。
解答の根拠
コンテナ技術はOSレベルの仮想化であり、アプリケーションとその実行環境をひとまとめにしてパッケージ化するため、ポータビリティに優れています。この特徴により、開発環境で構築したコンテナイメージをそのまま試験環境や本番環境に展開でき、環境構築(ミドルウェアのインストールや設定など)の手間が省かれます。その結果、運用部にとっては試験環境整備の作業時間を削減できることや、迅速な環境整備が可能になるという利点が生まれます。
高得点のポイント
- 単なるコンテナの機能的特徴(「起動が速い」「ポータビリティがある」)に留まらず、それが「運用部にとってどのような業務上のメリット(時間削減、迅速化)をもたらすか」を明確に記述する。
- 開発部のメリット(「開発効率が上がる」など)を混同して記述しないよう注意する。
- 20字以内という制限の中で、端的に「作業時間の削減」や「迅速な整備」といった効果を表現する。
(2)
本文中の下線(ア)で,インシデント発生前の状態に戻すまでの時間短縮は,コンテナ技術の特徴を生かすことによって可能となる。可能となる理由を20字以内で答えよ。
模範解答
APを迅速に起動できるから
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: インシデント復旧の時間短縮に繋がる「APの迅速な起動」という特徴を的確に説明している。
- 3点: 起動が迅速であることに触れているが、対象(APやコンテナ)が明確に記載されていない。
- 2点: コンテナの特徴を挙げているが、時間短縮とは直接結びつかない別の特徴(ポータビリティ等)も含まれており焦点がぼやけている。
- 1点: 時間短縮とは無関係なコンテナの特徴を解答している。
- 0点: 無解答、または全く無関係な記述。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 「〜から」「〜ため」など、理由を問う設問に対して適切な文末表現となっており、簡潔にまとまっている。
- 2点: 文意は通じるが、理由を答える文末になっていない、またはやや冗長な表現である。
- 1点: 文脈が乱れており、因果関係が論理的に伝わらない。
- 0点: 文として成立していない。
解説
本設問では、インシデント発生時の復旧時間短縮に寄与するコンテナ技術の具体的な特徴を答えます。
解答の根拠
従来の仮想マシン(VM)では、環境を起動する際にゲストOSの起動プロセスから実行する必要があるため、復旧に時間がかかりました。一方、コンテナはホストOSのカーネルを共有しており、ゲストOSを起動するプロセスが不要なため、アプリケーション(AP)を非常に迅速に起動できます。この「起動の速さ」が、インシデント発生時のサービス復旧時間を短縮する直接的な理由となります。
高得点のポイント
- 時間短縮に関連する直接的なコンテナの特徴である「APの迅速な起動」にフォーカスして記述する。
- 時間短縮に関係しない別の特徴(リソース消費が少ない、環境の差異が少ないなど)を解答に含めない。
- 「〜だから」「〜ため」といった、理由を問う設問に呼応する文末で記述する。
設問1(1)は,正答率がやや低かった。開発部にとっての利点やコンテナの特徴だけに着目して解答した受験者も多かった。コンテナの特徴だけではなく,コンテナを用いることで運用部が得られる利点に着目して解答してほしい。設問1(2)は,正答率がやや低かった。インシデント発生から復旧までの時間短縮に関連するコンテナの特徴を踏まえて解答してほしかったが,時間短縮に関連しないコンテナの特徴を解答した受験者も多かった。
設問2
〔デプロイ方法の改善〕について答えよ。
(1)
表1中の項番3の課題に対して,ブルーグリーンデプロイメント方式を採用することのメリットを35字以内で答えよ。
模範解答
Wサービスをほとんど止めることなくデプロイすることができる。
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: ブルーグリーンデプロイメントのメリットである「サービスをほとんど止めずにデプロイできる」ことを的確に説明している。
- 3点: サービスの無停止性について言及しているが、表現がやや不正確または抽象的である。
- 2点: デプロイが容易になるなど、抽象的なメリットに留まっており、無停止性に触れられていない。
- 1点: デプロイ手法のメリットとして的外れな内容を記述している。
- 0点: 無解答、または全く無関係な記述。
論理性(構造)(3点)
- 3点: メリットを問う設問に対し、35字以内で論理的に自然な構成でまとまっている。
- 2点: 意味は通じるが、文の構造にやや不自然さがある。
- 1点: 文脈が不明瞭で、メリットとして読み取れない。
- 0点: 文として成立していない。
解説
本設問では、ブルーグリーンデプロイメント方式を採用するメリットについて問われています。
解答の根拠
ブルーグリーンデプロイメント方式は、稼働中の現行環境(ブルー)とは別に、新バージョンを展開した新しい環境(グリーン)を用意し、ロードバランサ等でトラフィックのルーティングを切り替えることでリリースを行う手法です。この方式を採用することで、切り替えの瞬間にのみトラフィックの向き先が変わるため、サービスをほとんど停止させることなく新しいアプリケーションのデプロイが可能になります。
高得点のポイント
- 「サービスを無停止(またはほとんど止めず)にデプロイできる」という最大のメリットを明示する。
- 単に「デプロイが簡単になる」などの抽象的な表現ではなく、ユーザー視点やサービス提供の観点からの効果を具体的に記述する。
(2)
1世代前のAPに戻すための緊急メンテナンスに対して,ブルーグリーンデプロイメント方式を採用することで復旧までの時間を削減することができる理由を30字以内で答えよ。
模範解答
1世代前の稼働環境をコンテナとして残すことができるから
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 1世代前の稼働環境がコンテナとして残っており、再構築やリストアが不要であることを的確に説明している。
- 3点: 旧環境が残っていることに触れているが、理由としての説明がやや不足している。
- 2点: ブルーグリーンデプロイメントの特徴を正確に捉えられておらず、バックアップからのリストアなどを想定した記述となっている。
- 1点: 復旧時間削減の理由として的外れな内容を記述している。
- 0点: 無解答、または全く無関係な記述。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 「〜だから」「〜ため」など、理由を問う設問として自然な文末で、簡潔にまとまっている。
- 2点: 理由は通じるが、文末の締め方が不適切、あるいはやや冗長である。
- 1点: 係り受けが不自然で、理由として成立していない。
- 0点: 文として成立していない。
解説
本設問では、ブルーグリーンデプロイメント方式が、緊急メンテナンス時の旧バージョンへの切り戻し(ロールバック)時間をなぜ削減できるのかを問われています。
解答の根拠
ブルーグリーンデプロイメントでは、新環境(グリーン)へ通信を切り替えた後も、旧環境(ブルー、すなわち1世代前の稼働環境)をコンテナとしてそのまま残しておくことが可能です。もし新環境で不具合が発生した場合、バックアップデータからリストアしたり、旧バージョンのコンテナを新たに再構築・デプロイしたりする手間が不要になります。単純にロードバランサ等のルーティングを元の環境に戻すだけで復旧が完了するため、復旧時間が劇的に短縮されます。
高得点のポイント
- バックアップからのリストアや再デプロイを行うのではなく、「1世代前の稼働環境がそのまま残存している」という状態に着目して解答する。
- 講評にもある通り、現状の稼働環境を保持したまま新たな版を用意できるというブルーグリーンデプロイメントの仕組みの理解を示す。
(3)
本文中の下線(イ)で,図2の例において2.0版のコンテナの動作で問題が発生した場合,1.0版のコンテナに戻す場合の手順を25字以内で答えよ。
模範解答
接続先を1.0版のコンテナに切り替える。
利用者が使う稼働環境をブルーに切り替える。
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 接続先を旧バージョン(1.0版のコンテナやブルー環境)に切り替える手順を明確に示している。
- 3点: 接続先の切り替えについて言及しているが、切り替え先の環境の指定が曖昧である。
- 2点: 接続先の切り替えではなく、コンテナの再デプロイや再起動などの別の手順を記述している。
- 1点: 切り替えの手順として不適切または誤った操作を挙げている。
- 0点: 無解答、または全く無関係な記述。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 手順として簡潔かつ論理的な文章になっており、指示に従った記述である。
- 2点: 意味は通じるが、やや冗長な文章や、手順としての表現に不自然さがある。
- 1点: 文脈が不明瞭で、手順として読み取れない文章。
- 0点: 文として成立していない。
解説
本設問では、ブルーグリーンデプロイメント環境において、新バージョン(2.0版)で問題が発生した際に、旧バージョン(1.0版)へ切り戻すための具体的な手順を問われています。
解答の根拠
ブルーグリーンデプロイメント環境では、新旧の両環境が同時に存在しており、ユーザーからのリクエストはルータやロードバランサによって現在のアクティブな環境へ振り分けられます。したがって、問題発生時に旧バージョンに戻すためには、コンテナの再起動や再デプロイを行う必要はなく、単純に通信の接続先(ルーティング先)を1.0版のコンテナ(またはブルー環境)に切り替えるだけで完了します。
高得点のポイント
- 手順として「コンテナの操作(再起動など)」ではなく、「接続先(トラフィックの振り分け先)の切り替え」であることを明示する。
- 切り替え先として「1.0版のコンテナ」あるいは「ブルー」といった具体的な環境を指定する。
設問2(2)は,正答率が平均的であった。バックアップからの戻しやコンテナを再びデプロイすればよいといった,現状の稼働環境を保持したまま新たな版の稼働環境を用意できていることを意識できていない解答も散見された。ブルーグリーンデプロイメント方式の特徴に着目して解答してほしい。
設問3
〔コンテナ型仮想環境の検証〕について答えよ。
(1)
本文中の 空欄a には,エラーログ情報の運用方法が入る。コンテナが破棄されても原因の調査ができるようにするために,どのように運用しておけばよいか。25字以内で答えよ。
模範解答
エラーログの情報を外部記憶装置に保存
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: コンテナ破棄対策として、エラーログを外部記憶装置に保存する運用を明確に解答している。
- 3点: 外部に保存する旨は伝わるが、「外部」という表現や保存先の指定がやや曖昧である。
- 2点: ログを保存すること自体には言及しているが、保存先の「外部性」に触れていない。
- 1点: バックアップの取得など、ログ運用の文脈からややずれた手法を解答している。
- 0点: 無解答、または全く無関係な記述。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 「〜を保存する」など、運用の方法として適切な文末でまとまっている。
- 2点: 言いたいことは分かるが、助詞の使い方など文の構造に不自然さがある。
- 1点: 不完全な文で、意味が正確に伝わらない。
- 0点: 文として成立していない。
解説
本設問では、コンテナ環境特有の揮発性(コンテナ破棄と共に内部データも消滅する性質)に対応するためのログ運用方法について問われています。
解答の根拠
コンテナ内に保存されたデータ(エラーログなど)は、コンテナが再起動や破棄されるタイミングで失われてしまいます。そのため、事後調査ができるようにするには、コンテナのライフサイクルに依存しない場所にログを退避させる必要があります。具体的には、ホストOS上のディレクトリをマウントした永続ボリュームや、クラウド上のオブジェクトストレージなど、外部記憶装置にログ情報を保存する運用が求められます。
高得点のポイント
- コンテナ内部に保存するのではなく、「外部の記憶装置」へ保存または転送することを明示する。
- 何を保存するのか(エラーログの情報)を簡潔に記述する。
(2)
現在のコンテナ数が4で,平均CPU使用率が80%となり,しきい値を上回ってスケーリングが行われた場合,スケーリング後のコンテナ数を整数で答えよ。なお,計算結果で小数が発生する場合,小数を切り上げて整数で求めよ。
模範解答
7
配点 8点
解説
本設問では、コンテナのスケーリング(オートスケール)時の必要コンテナ数を算出します。
解答の根拠
オートスケーリングでは、全体の負荷の総量を目標となる「しきい値」で割ることで、必要なリソース数(コンテナ数)を算出します。
- 現在の総CPU負荷は、稼働しているコンテナ数と平均CPU使用率の積で求められます。
- スケーリングの目標となるしきい値(本文で指定されている値を仮に とします)で全体の負荷を割ることで、必要なコンテナ数が算出されます。
- コンテナ数は整数である必要があり、また負荷を目標しきい値以下に抑えるためには、計算結果の小数を切り上げる必要があります。
したがって、スケーリング後のコンテナ数は 7 となります。
誤答の解説
- 6 と解答した場合: 小数点以下を切り捨て、または四捨五入してしまっています。6台の場合、全体の負荷320%を6で割ると平均CPU使用率は約53.3%となり、しきい値の50%を上回ったままとなってしまうため誤りです。
- しきい値の読み取りミス: 本文中の目標となるしきい値を見落とし、異なる値で計算してしまった場合は不正解となります。