令和7年度 秋期 システム監査技術者試験 午前II 問10
マネジメントシステム監査IT全般統制・業務処理統制
A社では,財務報告に係る内部統制の評価対象である業務プロセスに関する情報システムのうち,販売システム,購買システム及び物流システムは,システム部が定める共通の規則に従い,システム部が自社の同一のIT基盤上で開発・運用し,管理を行っている。一方,各業務プロセスで発生する会計データを取り扱う会計システムは,社外のクラウドサービスプロバイダが提供するサービスを経理部が独自の規則を定めて導入して管理している。この場合,金融庁“財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(令和5年)”によれば,基本的な内部統制の評価単位の組合せのうち,最も適切なものはどれか。
解答・解説
正解: イ. ITに係る全般統制の評価: システム部が管理する販売システム,購買システム及び物流システムと,経理部が管理する会計システムとの二つに分けて評価する。
ITに係る業務処理統制の評価: 販売システム,購買システム,物流システム及び会計システムを個別に評価する。
金融庁の「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」に基づく、ITに係る内部統制の評価単位についての問題です。
ITに係る内部統制の評価は、大きくITに係る全般統制とITに係る業務処理統制に分けて考えます。
ITに係る全般統制の評価単位
- 全般統制は、複数のシステムに共通して適用される管理活動です。そのため、同一のIT基盤や共通の規則・管理体制の下で運用されているシステムは、一つの評価単位としてまとめて評価することができます。
- A社の場合、販売・購買・物流システムは「システム部が定める共通の規則に従い、同一のIT基盤上で」管理されているため、これら3つはまとめて1つの評価単位となります。
- 一方、会計システムは「社外のクラウドサービス」であり「経理部が独自の規則を定めて」管理しているため、上記3システムとは異なる管理体制です。したがって、会計システムは別の評価単位として分ける必要があります。
- 結論として、ITに係る全般統制は二つに分けて評価します。
ITに係る業務処理統制の評価単位
- 業務処理統制は、各業務プロセス(販売、購買、物流、会計など)におけるデータの正確性や網羅性を確保するための統制です。
- 業務ごとにシステム内で実行される処理やエラーチェックの仕組みは異なるため、原則として各業務プロセスのシステムごとに個別に評価を行います。
- したがって、販売システム、購買システム、物流システム、会計システムの4つは、それぞれ個別に評価単位とします。
以上より、全般統制は二つに分け、業務処理統制は個別に評価する組合せが適切です。
各選択肢の解説
- ア:ITに係る業務処理統制について「二つに分けて評価する」としている点が誤りです。業務処理統制は各業務システムごとに個別に評価する必要があります。
- イ:正解です。 ITに係る全般統制は管理体制が異なる二つに分け、ITに係る業務処理統制は各システム個別に評価しています。
- ウ:ITに係る全般統制について「一つにまとめて評価する」、ITに係る業務処理統制について「二つに分けて評価する」としている点がどちらも誤りです。
- エ:ITに係る全般統制について「一つにまとめて評価する」としている点が誤りです。管理体制やIT基盤が異なるため、一つにまとめることはできません。